皆様、間もなく今年も3月11日がやってきます。
今から13年前の3月11日14時46分に東北地方太平洋沖で超大型地震が発生し、東北は宮城 福島を中心に甚大な被害が起こり、同時に多くの尊い命が失われました。
そして今年 新年2024年 祝いの日であるはずの1月1日にも石川県能登沖大地震によりまた大きな被害が発生しました。
私たちは度々起こるこのような災害を通して、これが対岸の火事などではなく、「私達にも起こりうる」現実であるということを今一度2024年の3月11日を迎えるに際し、この恐ろしい教訓を思い起こし、尊い多くの犠牲を無駄にすることなく、明日への備えとしたいと思います。
今年1月1日石川県能登沖大地震による被害者と被災者の皆様、そして東日本大震災でお亡くなりになられた皆様とそのご遺族の皆様に心からの哀悼を示すとともに、皆様の速やかな物心両面の復興がなされることを心からお祈りいたします。
今回の記事は東日本大震災が起こった同じ年の2011年6月に開催された世界的なスポーツイベントで見た「奇跡」について投稿したいと思います。
またこの記事を通して「奇跡は偶然ではなく、必然に起きる(起こせる)」ことを皆様に分かりやすく解説したいと思います。
2011年開催された一大スポーツイベント
さて、いつものように皆様にクイズを出したいと思います。
前述したように2011年3月11日には東日本大震災が起こってしまいましたが、実はこの年の6月に4年に一度の世界的なビッグイベントが行われたのを皆様は覚えていますか?
ヒントはスポーツイベントです。
このように言えば思いだした方も結構いらっしゃると思います。
そうです。
2011年6月26日から7月17日にかけて2011 FIFA女子サッカー ワールドカップがドイツで開催されたのです。
ここで、もう一つクイズです。
さて、その年オリンピックに並ぶ世界の一大スポーツイベント 女子ワールドカップで優勝したチームはどこの国だったでしょうか?
答えは
サッカーをあまりご存じない方は「東日本大震災のあった年に日本が優勝してよかったね!」
と思うかもしれません。
しかし、サッカーを少しなりとも知っている方であれば、「2011年の女子ワールドカップで『なでしこジャパン』(日本女子サッカー代表のニックネーム)が優勝したことは、『奇跡』以外のなにものでもなかった」というはずです。
実は、それくらいこの年に日本がワールドカップで優勝したことはサッカーをよく知る専門家の視点から見ればまったくもってあり得ないことでした。
❖なでしこジャパンは優勝するはずではなかった
当然サッカー素人の私も当時 東日本大震災で被災された人々のために、また意気消沈する日本のために「何としてでも『なでしこジャパン』には良い成績を収めてほしい」と心から願っていました。
しかし、実はそもそも「なでしこジャパン」はその年ドイツで開催されたサッカー女子ワールドカップで優勝するはずはありませんでした。
どうして?
それは、「なでしこジャパン」はその年のワールドカップに参加する予定がなかったからです。
どういうこと?
実は、日本は4年に一度の厳しいワールドカップ予選を勝ち抜き、既にワールドカップ出場を決めていましたが、3月11日に東日本大震災が起こったことで、ワールドカップ出場を努力と実力で勝ち取った選手側から「日本が大変な時にサッカーなんてやっている場合ではない」という理由でワールドカップ出場を辞退したい旨を日本サッカー協会に申し出ました。
日本サッカー協会もそれを了承し、ワールドカップ参加辞退をFIFA(国際サッカー連盟)に申し出てワールドカップに出場しないことになっていたからです。
しかし、実際は「なでしこジャパン」はその年2011年にドイツで開催されたワールドカップに出場し男女合わせての初優勝を果たしました!
では、ワールドカップ辞退を決めていた「なでしこジャパン」がその年ワールドカップに出場したのはどうしてなのでしょうか?
実は、日本がワールドカップ出場の辞退をFIFAに申し出ましたが、FIFAからも、そして全世界のサッカーファンからも、「どうしても『なでしこジャパン』に出てほしい!」という強い説得が何度もありました。
しかし、それでも選手たちのワールドカップ辞退の強い気持ちは揺るぎませんでした。
結果的に「なでしこジャパン」がワールドカップ出場を決断したのは、東日本大震災で甚大な被害に遭われた当事者であった多くの被災者の方々から「ワールドカップに出場し、私たちを励ましてほしい!」という切実な数多くの声が、辞退を決めていた「なでしこジャパン」一人一人の気持ちと日本サッカー協会の心を動かし、結果的に参加しないはずだった2011年女子ワールドカップドイツ大会に出場したのです。
そして、辞退を決めていた「なでしこジャパン」が結果的にその年のワールドカップに出場した目的と理由はただ一つだけでした。
それは、
「東日本大震災で被災した方々、命を亡くされた方々、そしてその後遺族の皆様を勇気付ける!」
こと、
この理由のためだけに、「なでしこジャパン」と日本サッカー協会は辞退を決め込んでいた決定を撤回し、再度ワールドカップに出場することを決断したのです。
2011年サッカー女子ワールドカップ日本戦績
では気になる2011年ドイツワールドカップでの「なでしこジャパン」優勝までの戦績を簡単に紹介します。
まず、2011年ドイツワールドカップに出場するためには、それぞれの国と地域から地域ごとの過酷な予選を勝ち抜いた国々16カ国が参加します(開催年によって出場枠は変わる場合があります)。
日本はアジア枠として、たった2つしかない狭き門を見事くぐり抜け、栄えあるワールドカップの出場権を勝ち取ったのです。
世界各地で厳しい予選を勝ち抜き、結果的に選び抜かれた16チームだけがワールドカップに出場出来たのです。
ではワールドカップで優勝するまでの流れですが、まず選び抜かれた16チームを4つのグループに分けられ、それぞれ4つのグループにそれぞれ4カ国が割り振られます。
そして、それぞれ4カ国ずつ分けられた4つのグループはグループ内でそれぞれが対戦し、グループで戦績上位2チームが、ワールドカップの栄えある決勝トーナメントに出場することが出来ます。
日本は当時グループリーグのBグループに割り振られ、ニュージーランド、メキシコ、イングランド、そして日本の4チームで戦い合いました。
なでしこジャパンのグループリーグ戦績は以下の通りです。
《B組グループリーグ》
2011年6月27日 日本 2 – 1 ニュージーランド で日本勝利!
2011年7月1日 日本 4 – 0 メキシコ で日本勝利!
2011年7月5日 日本 0 – 2 イングランド で日本はイギリスに敗北。
日本は残念ながらBグループリーグでイギリスに敗れますが、結果的に日本はグループリーグ2位で見事ワールドカップの決勝のトーナメントに出場します!
この時点で日本はワールドカップで8位以内を決めましたが、なでしこジャパンの目標は「グループリーグ突破」ではなく、あくまでもその年「ワールドカップで優勝して、被災者と日本を励まし、勇気づけること」でしたので、ベスト8進出で満足することはな決してなかったはずです。
《決勝トーナメント》
そして、日本は決勝トーナメント初戦の準々決勝でドイツと戦いましたが、2011年のワールドカップはドイツで開かれた大会開催国ということもあって、地元のドイツチームは圧倒的なサポーターの声援を背に受けて戦えるという絶大なアドバンテージがあり、専門家の視点からも日本は「圧倒的に不利」な中での戦いを強いられることとなりました。
しかも、それだけではなく、当時のドイツはアメリカと並んで世界の女子サッカー界では圧倒的な強さを誇り、当時の女子サッカー界の常識ではアメリカとドイツの圧倒的な2強時代とされており、3位以下はどんぐりの背くらべのような状態で、実質アメリカとドイツ以外の国にとって3位を取ることが実質的な目標と考えられているそのような状態でした。
しかも、ドイツは過去の女子ワールドカップで2回優勝しており、当時の世界ランキングはアメリカに次いで2位で女子サッカー界では圧倒的に強かったのです。
また、当時日本とドイツの戦績は過去30年間で8度対戦していましたが、1分け7敗と過去30年間で一度も勝ったことがない絶対的に不利な相手でもありました。
しかし、結果は
2011 FIFA女子ワールドカップ 決勝トーナメント 準々決勝
2011年7月9日 ドイツ 0 – 1 日本 ドイツに勝利し ベスト4進出決定!
圧倒的な力の差をもろともせず、日本は試合時間の90分で決着がつかず0-0のまま延長戦に入りますが、延長戦後半に丸山 桂里奈選手が劇的に決勝点を決めてなんと日本は初めてのドイツ戦初勝利を4年に一度のワールドカップ準々決勝の大舞台で決めてしまいます!
2011 FIFA女子ワールドカップ 決勝トーナメント 準決勝
2011年7月13日 日本 3 – 1 スウェーデン スウェーデンに勝利し 銀メダル確定で決勝の夢舞台へ!
日本は準々決勝で競合スウエーデンと対戦しますが、前半早々10分にスウェ―デンに先制を決められてしまいますが、直後の前半16分に同点に追いつき、後半60分、64分にも追加点を決め、比較的余裕をもって日本はいよいよ決勝戦に駒を進めますが、、決勝で戦う相手は、当然ながら世界最強1トップのアメリカが対戦相手となります。
2011 FIFA女子ワールドカップ 決勝トーナメント 決勝
2011年7月17日 日本 2 – 2 アメリカ (3 – 1 PK戦) 過去一度も勝ったことのないアメリカに勝利し、ワールドカップ初優勝!
冒頭で既にお伝えした通り、戦前の専門家の圧倒的な「日本不利」の予想を覆しました。試合は延長戦でも2-2と決着がつかず、結果的にPK戦の末に日本は奇跡のワールドカップでの初優勝を男女含めて初めて成し遂げたのです!
奇跡の兆し
記事を書いていると、今から13年前の女子ワールドカップの優勝のシーンを思いだして、興奮すると同時に、熱いものが目頭から溢れてきます。
今想い返しても、あの優勝は本当に凄かった!
当時もそうですが、今考えても腕のいい脚本家でも、「あれだけドラマチックな結末を書けるだろうか、」と思うほどアメリカとの決勝戦はドラマチックなシーンの連続でした。
また、もし頭の中ににあのようなドラマチックなシナリオを思いついたとしても、それを実際に映画やドラマにするのは、あまりにも話しが出来過ぎていて、プロの脚本家ならあのような結末を選ばなかったのではないか、とも考えてしまいます。
それほどにドラマチックで、且つ、その道の通(サッカーの専門家)の予想からは、全くもって非現実的な結末だったのです。
❖決勝戦試合内容
アメリカとの決勝戦は前半戦は互いに点を取れず0-0で後半に折り返しますが、試合内容は圧倒的なアメリカの波状攻撃にさらされ、日本は、まるでサンドバックのように撃ち込まれるアメリカのシュートを必死になって耐え忍ぶばかりでした。
試合を見ながら一体どれだけ「心臓が止まるか、」というシーンがあったことでしょうか?
しかし、信じられないことに、奇跡的にボールがゴールマウスのバーに当たって跳ね返されたり、何度もキーパー海堀によるスーパーセーブがあったりで、前半戦は圧倒的にアメリカに攻められながらも奇跡的に「0」点に抑えました。
後半開始早々も、試合はそのまま前半の続きで、日本はアメリカに完全にボールを支配され、雨あられのようなシュートを受け続きました。
その当時、私は心の中で、「もしサッカーが得点で勝敗を決めるスポーツではなく、試合内容で決まる判定のスポーツであるなら、間違いなく日本はアメリカに圧倒的な判定差により完全敗北している」と感じたほどです。
しかし、そのような日本の筆舌に尽くしがたい賢明な努力の甲斐も実らず、後半24分に途中出場の当時アメリカの若手のホープだったモーガン選手が均衡を破り得点を決めてしまいます。
●後半24分アメリカ1点目
試合後、サッカーの専門家であり、日本サッカー界の重鎮でJリーグ初代チェアマンを務めた川渕 三郎氏は、後半24分にアメリカに先制点を入れられた時に、心の中である思いが沸き起こったと言っていますが、どのような思いが沸き起こったと思いますか?
点を決められた瞬間 川渕氏は心の中このように思ったと語っています。
「なでしこジャパンここまで良くやった!しかし、これで終わりだ」
この言葉は私のような素人ではなく、日本のサッカーの発展のために人生を掛けて努力してきたサッカーと日本サッカーを誰よりも知る、サッカーのプロ中のプロである川渕 三郎氏の言葉です。
皆様はこのサッカーを誰よりも知るこの川渕氏の言葉からいったい何が理解出来ますか?
そうです。
それくらい当時のアメリカと日本の実力差は明白であり、なでしこジャパンが4年に一度のサッカーの祭典ワールドカップの決勝戦で世界一のアメリカに戦っているという事自体が既に専門家の視点からすると既に「奇跡」だったのです。
しかし、実際には川渕氏の思いとは裏腹に試合はそれで終わりませんでした。
●後半36分日本同点弾!
アメリカに1点を入れられてから12分後の後半36分に2011年のワールドカップ後に「なでしこジャパン」のキャプテンになった宮間あや選手が残り試合9分で試合が終わり日本のワールドカップ初優勝が幻に消える、というところで劇的なゴールを決め同点に追いつきます!
●延長前半12分アメリカ2点目
試合は90分でも決着がつかず前後半それぞれ15分の延長戦に突入しますが、延長前半14分に当時女子サッカー界のスーパースターだったワンバック選手が豪快なヘッドで強烈なゴールをゴールポスト右隅に決めます。
ここでクイズです。
さて、日本サッカー界の重鎮で、誰よりも日本サッカーを愛し理解する、日本Jリーグ初代チェアマンの川渕 三郎氏は、延長前半14分にアメリカに追加点を入れられた時に、心の中で何と思ったでしょう?
「なでしこジャパンここまで良くやった!しかし、これで終わりだ」
川渕氏はまたしても同じ言葉を心の中で繰り返したのです。
みなさま、繰り返しますが、この言葉は、サッカーを知らない私のような素人の言葉ではなく、日本のサッカーを心から愛し、この道何十年もこの世界で生きてきた、元日本代表選手で、且つ、日本サッカー界のドンとして君臨したあの川渕 三郎氏が言った言葉です。
つまり、川渕氏の言葉で理解できることは、当時のサッカーというスポーツを誰よりも理解し、世界のサッカー界の当時の現実を知る専門家からすると、当時アメリカに勝つこと、また当時なでしこジャパンが世界のひのき舞台のワールドカップで優勝することが如何に難しく非現実的であったかということを当時の川渕氏の言葉から知ることが出来ます。
しかし、結果は、その業界の専門家で且つ、長年その世界に身を置いてきた、日本サッカー界の重鎮の予想を完全に覆すものとなりました。
●延長後半13分日本またまた同点弾!
延長戦残り2分で試合終了のホイッスルが鳴ろうとする時に、これまで17年間の長きに渡り日本女子サッカーをけん引してきたなでしこジャパンキャプテン澤穂希選手が奇跡の同点ゴールを足のふくらはぎに当てて劇的なゴールを決め、延長戦でも決着がつかずPK戦の末に3-1でアメリカを下し奇跡の優勝を果たしたのです。
なでしこジャパンが奇跡のワールドカップ初優勝を決めたとき川渕氏はこのような言葉を残しています。
「奇跡って起こるんだね!」
この言葉は素人の言葉ではなく、何度も言いますが、日本サッカーを心から愛し、誰よりも知る専門家の言葉です。
みなさま、それでは、サッカーを誰よりも知るプロでさえ、全く予想できなかった「なでしこジャパン」が決勝戦でアメリカを下し、日本サッカー男女を交え初のワールドカップ優勝という偉業を果たしたのはどうしなのでしょうか?
私は、それは川渕氏が言ったのと同じく、正しくそれは「奇跡」だったと確信しています。
しかし、こうも思います。
「それは奇跡だったが、しかし、同時にその結果は『必然』だった」と。
なでしこジャパンWCUP初優勝の2つの兆し
私は、なでしこジャパンが奇跡を起こすであろう、兆し(印)を決勝のアメリカ戦の試合前半途中から優勝の瞬間までに最低でも、はっきり2回見つけることが出来ました。
私はこの2回の兆し(印)からなでしこジャパンが奇跡的に優勝を果たすであろうことを試合終了の前に既に「確信」していました。
つまり、知っていたのです。
それではなでしこジャパンが優勝するであろう2回の印(兆し)とは何だったのでしょう?
①
前後半合わせて2回決定的なシュートがゴールポストに当たって助けられた。あのような一方的な押し込まれた試合展開で完全に入ったと思わせたシュートが2度か3度ゴールポストにはじき返されることはとても珍しかった。
②
延長でも決着がつかず、PK戦で決着を決めることになったが、PK戦に入る前アメリカ、日本それぞれのチームが、それぞれ輪になり円陣を組んでいる時 アメリカチームはまだ負けていないのにも関わらず、既に負けたような悲壮感が顔に表れていたが、
「なでしこジャパン」は、まだ勝っていないのに、まるで勝ったかのように、そして天国にでもいるかのような笑顔で全ての選手、監督、そしてスタッフが最高の舞台を心から喜び楽しんでいた。
その両チームの対照的な姿を見た時に、私は「なでしこジャパン」の優勝を「確信」したのです。
今でも時々「奇跡」に想いを馳せるときに、アメリカ選手の目に見えぬ絶対的な壁に阻まれ怯えている姿と、日本選手がまるで雲の上のパラダイスにいるかのようにまったく自由でとても幸せそうな姿を思い出すことがあります。
❖勝利を決めるPK戦
優勝を決めるPK戦が始まると日本の守護神海堀あゆみ選手が一本目のPKを片足一つではじき出します!
日本は1本目を冷静に宮間が決めますが、アメリカは2本目をゴールマウスのはるか上に蹴り上げ、これで2本連続PK失敗。
日本はPK3回中すでに2本決めていて、アメリカは4回中決めたのはたった1本だけでした。
日本の4人目のキッカー熊谷が決めればその時点で「優勝」が確定する重要なPKをまだ若干20歳のDF熊谷はゴール左隅に豪快に決めると、感極まった選手たちが、勝利を決定付けた最後のキッカー熊谷と、奇跡的なセーブを何度も見せたゴールキーパー海堀に群がります!
その先は、みなさまが想像する通りです。
得体の知れない「何か」
ベテランで世界最強のFWと謳われたアメリカのキャプテン ワンバック選手は試合後のインタビューで興味深い言葉を残しています。
「特に試合後半は『何か』が彼女たちを後押ししていたように見えた」
つまり、世界最強と謳われた当時のアメリカの選手たちは、試合中「なでしこジャパン」だけではなく、目に見えない大きな「何か」とも戦っているように感じていたのです。
世界女子サッカーのスーパースターであるワンバックが答えた「特に試合後半は何かが彼女たちを後押ししていたように見えた」という言葉は、なでしこジャパンが奇跡の優勝を果たしたことを象徴しているように感じます。
恐らく世界ランク第1位で過去2度WCUPで優勝しているアメリカのエリート選手達は、試合内容で圧倒しながら、蹴っても蹴っても入らないゴールマウスをまるで、マッチ箱ほどの大きさに感じたことでしょう。
また、ようやくゴールを決めて、引き離してもすぐに追いつく小柄な日本選手を見て、彼らは、ピッチにいる日本人選手だけでなくそれ以外の何か得体の知れない大きな壁、大きな存在とも戦ってでもいるような恐怖を感じたことでしょう。
では、ワンバック選手が言う「何か」とは一体何でしょう?
私は、その「何か」とは人知で計り知れない、人には決してコントロールし得ない、何らかのパワフルなエネルギーだと信じています。
そして、その「何か」の「エネルギー」が作用する時に、必然的に「奇跡が起こる」となでしこジャパンの劇的な試合を見たことで信じるようになりました。
なでしこジャパンが優勝する確率
では、この2011年のなでしこジャパンの優勝がいかに奇跡であったかというデータを数字から検証したいと思います。
今から13年前の当時、それまで準々決勝で戦った当時世界ランキング2位のドイツと決勝で戦った当時世界ランキング第1位のアメリカに対し、「なでしこジャパン」は過去30年間に渡って一度たりとも勝ったことがありませんでした。
ドイツとは過去8戦対戦し1分け7敗、そしてアメリカとは過去に25回戦い、なんと3分け22敗と完全に圧倒されていました。
また、その年2011年に入ってワールドカップが行われる前の直近3月と5月に親善試合を含めアメリカとは3回戦っていますが、いずれも1-2、0-2、0-2と3連敗を喫しています。
当然ながらこれら過去の対戦結果から決勝戦前に当時アメリカ代表チームを率いたスンダ―ゲ監督は、「自信がある」とはっきり「優勝」を公言しています。
では、世界ランク1位と2位のアメリカ、そしてドイツに対し過去30年間計で43回対戦して練習試合も含め1勝もしていないチームが4年に1度の世界のひのき舞台のワールドカップで世界ランキング一位のアメリカと2位のドイツから立て続けに勝利する確率は一体どれくらいでしょうか?
色んな計算方法があるのでしょう。また不確定要素が絡むスポーツを確率で表そうとすること自体にも無理はあるでしょうが、もし将来AIが劇的に進化し、不確定要素も含めて計算できる、そのような画期的なソフトが開発されたら、その確率は色んな角度から検証しても、2011年のワールドカップで「なでしこジャパン」が優勝する確率は限りなく「0%」に近かったはずです。
奇跡は必然に起こる
しかし、結果は専門家の予想を覆し「なでしこジャパン」が優勝しました。
では、どうして今回なでしこジャパンはこのような奇跡を起こせたのでしょうか?
どうして「なでしこジャパン」は優勝が出来たのでしょうか?
「奇跡は偶然起こる」
と多くの人は考えますが、私は決してそうは思いません。
2011年の「なでしこジャパン」の奇跡の優勝から私は
「奇跡は偶然に起こるのではなく」
ある条件(要素)が集められたときに
「奇跡は必然に起こる」
という考えを持つようになりました。
なでしこジャパン優勝に作用した壮大なエネルギー
なでしこジャパンが勝ったのは、当時の「なでしこジャパン」の実力ではなく、また偶然でもなく、必然でした。(※なでしこジャパンの実力を軽視するものではありません、これはあくまでこれは私の見解です)
当時「なでしこジャパン」が優勝したのは人知では計り知れない、何らかの壮大なエネルギーが作用したと私は確信しています。
そして、当時の「なでしこジャパン」が、その人知で計り知れない壮大なエネルギーを味方につけるために、なでしこジャパンのメンバー 一人一人は、アメリカの実力に匹敵、またはそれをはるかに凌駕するために並々ならぬ努力とそして優勝を信じる気持ちが強かったのだと信じています。
そして、アメリカだけでなく、当時ワールドカップに出場した全ての国のどのチームよりも「なでしこジャパン」は努力という面に関して、はるかに上回る努力をしたと確信しています。
なぜなら当時の「なでしこジャパン」がワールドカップに出場して戦う目的は、その当時「今なお被災して苦しむ被災者の皆様、そして大切な人を亡くされた遺族を励ますための純粋な戦い」だったからです。
通常ワールドカップのような世界的なイベントでは、選手たちは自分の価値を世界に証明し、世界に自分を売り込むための大きなイベントという要素がありますが、(※これはスポーツを生業として働く選手にとってはごく当たり前であり、正当な考えです)
しかし、当時の「なでしこジャパン」の中には誰一人として自分のキャリアのために、自分の価値を世界に知らしめるために、というような考えで戦う選手はいなかったでしょう。
私は当時、この「なでしこジャパン」のワールドカップ初優勝から多くの考察をすることで、奇跡を起こすための要素は最低でも「5つ」あるという強い考えを持つようになりました。
1つは前述したように、
「自分を思わず(忘れ)、他者のために行動する」事だと考えます。
私利私欲をいったん脇に置き、自分を忘れ、相手のために、また他者のために働くときに、奇跡を起こす一つの重要な要素が発動するのだと思います。
しかし、奇跡を起こすためにはこの一つの要素だけではまだ足りないと思っています。
なでしこジャパンの優勝から私はこの他にもあと4つ奇跡を起こすために必要な要素があると確信を持っています。
では「奇跡を必然に起こす」ための5つの要素とはなんでしょうか?
下記になでしこジャパン優勝から奇跡を発動させた5つの要素を解説したいと思います。
奇跡を起こす「5つ」の要素
①心から優勝したいと願った!(強い願望・祈り)
恐らくこの大会で優勝したどの国のどのチームよりもこの純粋な願望に勝るものはなかったでしょう。
②なでしこジャパン選手一人一人の血の滲むような努力の賜物!
ワールドカップに出場するどの国のどの選手でも血の滲むような努力をしますが、それでも当時のワールドカップで日本ほど努力した国はなかったでしょう。一度ワールドカップ出場を選手の実力で勝ち取ったにもかかわらず、「日本が大変でサッカーなんてしている場合ではない」という想いから、選手自らがワールドカップ出場を断ち切ったにもかかわらず、被災者の切なる願いによって参加することを決めなおしたのですから、選手一人一人は本当に命を懸けて練習し、もの凄いを努力したはずです。
③決して諦めず!全身全霊で優勝を疑わず信じた!
実際に決勝のアメリカ戦で後半36分に劇的な同点ゴールを決めた、次期なでしこジャパンのキャプテンになる宮間あや選手は決勝戦後に「アメリカと戦う前は勝つイメージしかなかった!」と勝つ前から優勝しているシーンをはっきり見ていました。戦う前に既にアメリカに勝っているシーンをイメージで見て、試合前から優勝を既に確信していたのです。
⓸自分のことを忘れ、一心に東日本大震災の方々のために!という強い想いがあった。
自分ではなく、他者を想う純粋な気持ちが相乗効果をもたらす。彼女たちのひた向きで謙虚で諦めない、そのような献身的な姿に感動し、日本国民だけでなく、世界の多くの人々が、彼女達に日本の未来をオーバーラップして優勝を心から願い祈った!
⑤なでしこジャパンの戦士達が、苦しい中でも、サッカーを愛し、試合を心から楽しんでいた!
PK戦が始まる前まだ試合が終わっておらず優勝していないのに、円陣を組んでいる時に「なでしこジャパン」はチームスタッフを含めて皆が輝く笑顔で喜び楽しんでいた。
これらは「奇跡」を生じさせるための重要な5つのファクター(要素)だと確信しています。
みなさま、どんなに頑張っても成功がほど遠い、私には実力がないので自分には無理だ、と感じていませんか?
そんなみなさまには、ぜひ、実力や経験を超越した人知を超えた壮大なエネルギー「奇跡」を起こしていただきたいと思います!
みなさま、奇跡を起こす5つのファクターはもう覚えましたね!?
① 強い望み!(願望・祈り)
② 自分が心から納得するだけの努力を行う!(最大限の努力)
③ 決して諦めない!成功を疑わず信じる!(信じる、信仰)
⓸ 自分を忘れ(捨て)、他者のために行動する!(他者のために努力する)
⑤ 自分の戦いに誇りを持ち、夢を愛し、苦しい中においても心より楽しむ!(どんな状況でも楽しむ)
みなさま、これが人知をはるかに超えた壮大なエネルギー「奇跡」をもたらす5つの要素です。
私はこれら5つの要素は人が大いなる喜びを得るための重要な原則だと思っています。
私は、人は努力以上の実力は発揮できないと信じています。
しかし、時々人は力以上の力を発揮することがあります。
そして、世間ではそれを「奇跡」と呼ぶのです。
今回のワールドカップ優勝の立役者の一人で大会中5点を決め大会得点王に輝き、同時に大会MVPにも輝いたキャプテン 澤 穂希選手の言葉を紹介します。
この言葉は、15歳からなでしこジャパン日本代表としてワールドカップに5回にも渡って出場し17年間ひたすら走り続けた澤 穂希選手の優勝直後の言葉です。
「サッカーの神様はいましたね!もう最高です。金メダルを持って、日本に帰ります。」
澤 穂希
爽やかでシンプルなこの言葉に、なでしこジャパン優勝の全ての要素が凝縮されているように感じます。
なでしこジャパン優勝に見る3人のキーマンの言葉
最後に日本のワールドカップの優勝に関わる3人のキーパーソンの言葉で今回の記事を締めくくります。
初代Jリーグチェアマン 川渕 三郎氏
「奇跡って起こるんだね!」
アメリカ代表キャプテン アビー・ワンバック
「特に試合後半は何かが彼女たちを後押ししていたように見えた」
日本代表キャプテン 澤 穂希
「サッカーの神様はいましたね!もう最高です。金メダルを持って、日本に帰ります。」
専門家である川渕氏、そして当事者のそれぞれアメリカ、日本のキャプテンであるワンバック選手も澤選手も、「実力で日本が勝った」とは言わず、「奇跡」、「何か」、「神様」という言葉を使っています。
そうです。
東日本大震災があった年の2011年にドイツで開催されたサッカー女子ワールドカップで「なでしこジャパン」が成し遂げた劇的な優勝は壮大なエネルギー「奇跡」によるものでした。
そして、この奇跡によって被災された当事者の皆様はもちろんのこと、日本、そして世界に大きな希望と感動を与え、どん底から見事に復興する日本の姿を全世界に示したのです!!
皆様、人生を通して努力し、素晴らしい幸福、成功を掴んでいただきたいと思います!
しかし、目の前に皆様の実力では何ともしえない、大きな壁を認めた時には、奇跡を起こす5つの要素を思い起こし、皆様の実力を遥かに超える壮大な「奇跡」を発動させ、皆様の素晴らしい世界を創造していただきたいと思います!!
下記URLからYoutubeにて2011年劇的な優勝を果たした日本代表の優勝までの感動の軌跡を4分のダイジェストでご覧いただけます。
https://www.youtube.com/watch?v=HetCV5JLQ40
最後に、
今年2024年1月1日にお亡くなりになられた皆様とそのご遺族、また現在もなお避難所で暮らす皆様の上に、またあれから13年経ちますが、今なお震災の影響で苦しむ皆様と亡くなられた皆様の上に心からお見舞いと同時にご冥福をお祈りいたします。
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